愛を乞うひと   下田治美

  • 2018.05.22 Tuesday
  • 07:35

JUGEMテーマ:読書

 

 

台湾人の父親と母親の元に生まれた照恵。

彼女の母親は激しい気性の人で、ある日突然、彼女は父親と共に家を追い出されてしまった。

その後、すぐに父親が亡くなり、施設に預けられるが、10歳で再び母親と暮らすことになる。

だがそれは地獄の始まりだった。

母親は次々と男を替え、照恵の名字もその都度変わり、そして体には無数のアザが刻まれるようになった。

母親に幾度も殺されそうになった8年間。

中学卒業後、やっと就職して自由を得たかにみえたものの、執拗な母親からの攻撃に、切羽詰って裸足で家を飛び出した。

それから数年。真面目に働いて、結婚して、子供を育て、ひと段落した照恵は、父親の遺骨を探す決意をする。

それは、本当の意味での母親との決別の旅となるのだろうか・・・・。

 

壮絶な虐待です。

『世間体が悪いから引き取った』というまさに手前勝手な言い分に怒りを覚えます。

照恵は最強のサバイバーです。

よく生き残ったね!と抱きしめてあげたい。

そして、明かな虐待でも、警察も役所も介入できなかったという体制に心が恐怖で震えます。

今でも積極的な介入とはいかないので、あまり進歩はないのかもしれませんが・・・。

 

照恵は、理由があれば母親を許せるかも、と始めは言ってました。

けれど、子供を虐待する母親の心情など理解しなくてもいいのだと気付きます。

虐待された子供は、何らかの理由を欲します。

自分を納得させるために。

子供にとって親は神です。絶対無二の存在です。

その親から拒絶された子供はどうやって生きていけばいいのでしょう。

人生の設計図をどうやって描けばいいのでしょう。

 

虐待の連鎖を断ち切ることが出来たのは、照恵の周りの人たちが彼女を愛してくれたからだと思います。

その愛が、彼女の人生をマトモなものにしてくれたのです。

もし、養育者に適性がなかったとしたら、自分と未来を守るために、見捨ててもいいのだと。

それは罪悪感を覚えることではないのだと。

この物語は教えてくれているようです。

 

あしたの君へ   柚月裕子

  • 2018.04.28 Saturday
  • 09:06

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少年事件や離婚問題の背景を調査し、解決に導く、家庭裁判所調査官という職業に就くべく、見習いとして望月大地は日々を過ごしていた。

先輩たちから親しみを込めて、『カンポちゃん』と呼ばれる家裁調査官補。

そろそろ実際に案件を担当してみようと言われたが、及ばないことだらけに自信を失う。

それでも、悩んでいる人の役に立とうと懸命に、真摯に立ち向かう。

 

人の心は複雑で。

他人に自分の心をさらけ出すことに抵抗感があり。

また自分の感情を正しく言葉にすることは難しい。

そんな人間と向かい合い、問題を正しく読み解き、客観的な事実を見据えて当事者にとって一番良い解決法を探す。

とても難しい仕事ですね。

そして必ずしもありがとうと言われるわけではない。

報われないことも多いでしょう。

でも望月は自信喪失しながらも投げ出さず、逃げださず、食いついていきます。

自分の問題に、ここまで真摯に向き合われると、重荷が少しでも軽くなる気がします。

それにしても。

世の中にはいろんなトラブルがあるもんですね。

ねこのおうち    柳 美里

  • 2018.04.19 Thursday
  • 07:40

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血統書付の綺麗な猫が脱走して子猫を孕んだ。

生まれた子猫はへその緒がついたまま、公園に捨てられる。

毎日、その公園で猫に餌をやっている老女がたまたま見つけて保護。ニャーコと名付けて飼いネコになった。

それから穏やかな日々が過ぎ、老女もネコも幸せな毎日を暮していたが、ある日を境に老女が認知症となり、ニャーコの暮らしは一変。

住む場所も奪われてノラ猫になってしまった。

それでも逞しく生きていたニャーコはやがて子猫を産み、母猫に。

ところがノラが生きていくには世界は厳しくて・・・・。

 

 

『猫に餌をやるな』と町内会から言われながらもノラ猫たちに手を差し伸べてきた人たち。

犬や猫はそもそも人が管理してきた歴史が長いので、これからもしっかりと管理していかなければいけないのに。。。。

殺処分になったり人に迷惑をかけることになったりする子が本当に多い。

猫嫌いな人もネコ好きな人も、気持ちよく暮らせる街になればいい。

捨てる神あれば拾う神ありというけれど、拾われなくても生きていける世の中が一番理想。

そして。

歳をとって動物と暮らすことが当たり前に簡単に出来る世の中の仕組みが出来れば、孤独死も防げるような気がするのだけど・・・。

 

朝が来る     ・・・辻村 深月

  • 2018.03.28 Wednesday
  • 07:41

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ごく普通の親子だった。

母親と父親と一人息子の三人家族。

仲よく穏やかに暮らす栗原家に、ある朝一本の電話がかかってきた。

「子どもを、返してほしいんです」

それは、息子の産みの母だった。

子供を持てなかった夫婦と、子供を手放さなければならなかった少女の人生が交差する。

 

 

栗原家は本当に素敵な家庭です。

子供を一人の人間として尊重し、きちんと親子としての絆を作ろうとしていて、子供の産みの親への気持ちも持っている。

お手本のような里親さんだと思いました。

こういう家なら、反抗期になっても、『本当の親でもないくせに』なんて言葉は出てこないだろうなと感じます。

一方、産みの母親である少女もごく普通の少女です。

どこにでもいる。ちょっとマセた女の子。

先を読む力が少し欠けていただけで、問題もほとんど見られません。

ほんの少しの息苦しさを感じていて、ほんの少しハメを外したいと思っていて、その結果、息子の人生に影を落としてしまった。

けれどまだ間に合います。

栗原家と接触したことで、少女は軌道修正するでしょう。

少女もまた、ここから生まれなおすのです。

木漏れ日に泳ぐ魚

  • 2018.03.26 Monday
  • 18:05

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別々の道を歩くことにした一組の男女。

最後の夜、二人は棘のように心に刺さった問題を解決するため、慎重に、重たい空気を背負い、語り始めた。

少しずつ明かされていく過去。その中に違和感が混じり始め―――。

朝の光と共に真実はさらされていく。

 

ラストはなんとなく透けて見えましたが、そこに行きつくまでの探り合いがねっとりと重苦しく、憂鬱になります。

謎が解明されているのか、それとも深まっているのか、分からなくなるような物語でした。

働かないの ―――レンゲ荘物語

  • 2018.03.17 Saturday
  • 18:31

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こんな私に親切にしてくれてありがとう――四十八歳になったキョウコは、まだ「れんげ荘」に住んでいた。

相変わらず貯金生活者で、月々十万円の生活費で暮らしている。

普段は散歩に読書に刺繍、そして時々住人のクマガイさんらとおしゃべり――そんな中、「れんげ荘」にスタイル抜群の若い女性がリヤカーを引いてやってきた!

悩みも色々あるけれど、おだやかに流れる時を愛おしみながら、ささやかな幸せを大切に生きる、ロングセラー「れんげ荘」待望の第二弾(アマゾンより抜粋)

 

何もしない。

10万円でもここまで生活できる。

読んでるとだんだんとまったりした気分になれます。

せかせかしてる世の中のほうがおかしいんじゃないかと感じてきます。

形ある物に執着しなければ、人は生きていけるものですね。

鹿の王   上 下

  • 2018.03.15 Thursday
  • 13:53

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生きることに意味を見いだせなくなった男たちが、侵略者から故郷を守ろうと奮闘していた。

死を恐れない戦士団『独角』

だが他国から恐れられたその団体も、ついに終焉を迎える。

独角の頭であったヴァンは、奴隷として岩塩鉱に囚われ、固い岩盤を掘らされることとなった。

劣悪な環境で働かされる奴隷たちは侵略された各国の人々。

言葉の通じない作業場の中、深夜、ある騒ぎが持ち上がる。

狼のような犬が襲ってきたのだ。

犬に噛まれた奴隷たちは謎の奇病に罹り次々と命を失っていく。

ヴァンは一命を取り留め、穴倉から逃げ出した。

囚われていた奴隷の中で助かったのは、ヴァンと幼子のユナただ二人。

ヴァンはユナを連れて長い逃亡の旅に身を投じるが、追っては様々な形で二人に迫っていた。

 

国の思惑や人の思惑が交差してとても複雑になってます。

民族間の軋轢や宗教観、最新の医学。ヴァンの行く先には障害がたくさん。

それぞれが良かれと思って行動していることが、いち個人を追い詰め、生活を奪い、人生を狂わせていく。

負けないで生きていくことは並大抵のことではないと思わざるを得ないストーリーでした。

関係が難しすぎて私には入り込みにくい作品でもありました。

あちこちに物語の主役が飛んじゃうのも原因かな。

たとえ、世界に背いても

  • 2018.03.13 Tuesday
  • 07:36

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紫斑性筋硬化症候群という奇病を研究し、その治療法を確立した浅井由希子博士は、ノーベル賞受賞の場でこの病に冒された息子について語り始めた。

初めは息子のために研究に没頭した彼女を称える雰囲気のあった会場は、だが博士の「私の息子は同級生達に殺された」という一言でざわついた。

次いで、「いじめに加担した元同級生たちに死の裁きを与えない限り、新たな奇病で人類は死に絶える」という宣言で凍りつく。

天才科学者による未曾有の復讐劇に人類は恐怖と混乱に陥り、元1年B組の生徒達は全世界から敵視される存在となった。

 

 

恐ろしい話です。

理性が別の次元へ行ってしまった天才科学者には誰も太刀打ちできないということでしょうか。

初めは息子に対するイジメの凄惨さと不誠実な学校の対応への怒りと悲しみと憤りから始まった物語。

それだけならほとんどの人が彼女に同調し、同情し、一緒に憤ることが出来るでしょうが、そこからベクトルが人類への切り捨てへと推移していくなんて誰も思わないでしょう。

 

イジメは簡単にはなくなりません。

どんなに悲しいことだと分かっていても、他者を傷つけても守りたいものがあると思っている人たちがいる限り、完全になくすことは出来ないでしょう。

 

博士は何が見たかったのか。

たんに人類に絶望してしまったのか。

それとも、自分に立ち向かい、たとえ自分や愛する人が死んだとしても、他者を殺さないでいることが出来る人たちを待ち望んでいたのか・・・・。

 

博士は神になりたかったのかもしれません。けれど、これは紛れもないテロだと思いました。

自分の欲求を満たすために他者を踏みつける行為。

息子をイジメていた元同級生となんら変わらない行為。

そして、この結末がテロリストだという結論に導いている気がします。

たまちゃんのおつかい便

  • 2018.03.10 Saturday
  • 07:19

JUGEMテーマ:読書

 

亡くなった母親への思い。母方の祖母へのいたわり。外国人の義母・シャーリーンとの確執。

複雑な環境と思いを抱え、たまちゃんは大学を中退して田舎へと戻ってきた。

彼女が、打ち解けない義母と同居を決意したのは、過疎化と高齢化が深刻になっている町で「買い物弱者」を救うため、移動販売の「おつかい便」をはじめることにしたからだ。

色んな人に助けられて始めた事業。初めはトラブルもなく順調だったが・・・・。

 

買い物弱者。近年、よく言われるようになった言葉ですね。

便利のいい都会に住めばいいという人もいますが、やはり慣れ親しんだ家や近所の人たちと別れることは難しいものです。

誰もが、住み慣れた家で年老いてからも暮らすことが出来れば・・・・。

独居老人などという言葉がなくなり、地域の中で孤立することなく、生活に不自由することなく。。。。

希望はほんの些細なこと。でもそれを実現させるのは大変なこと。

だからたまちゃんのおつかい便は、とてもありがたいシステムだと思います。

外に出る機会が与えられ、人とお喋りすることも出来、買い物もできる。

そしてたまちゃんもまた、そんなお年寄りたちの笑顔に支えられている。

とても素敵でほっこりとした関係がちりばめられている物語です。

世界地図の下書き

  • 2018.03.05 Monday
  • 13:44

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両親を事故で亡くした小学生の太輔は「青葉おひさまの家」で暮らしはじめる。

心を閉ざしていた太輔だが、仲間たちとの日々で、次第に心を開いてゆく。

中でも高校生の佐緒里は、みんなのお姉さんのような存在。

卒業とともに施設を出る彼女のため、子どもたちはある計画を立てる…。(アマゾンより抜粋)

 

子供にとっては過酷な試練なのでしょう。

施設で育つということは、命と生活の保障はあるが、早く独立して大人になるということと同義だと思います。

一般の家庭でも親子の問題は様々ありますが、将来に対する不安は格別。

ましてや、学歴格差は広がるばかり。自分がしっかりしていれば・・・という問題では解決できないことも。

でもその中で、おひさまの家の子供たちは心を一つにして誰かのためになることをしようと行動を起こします。

それは大人からすれば迷惑だったり混乱だったりすることですが、彼らのしていることは決して無駄でも無意味でもなく、大人になる過程で十分に糧になるものだと思います。

そんな経験が出来る彼らは、ひょっとしたら幸せなのかも。。。

親の愛情を溢れるほど与えられなかったとしても、仲間との絆は彼らの心に開いた穴に綺麗な花を咲かせることでしょう。

心を豊かに育てるために必要なのは、他の人へ対する心なのだと思う物語です。

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