銀の猫   朝井まかて

  • 2019.01.20 Sunday
  • 07:59

JUGEMテーマ:読書

 

 

口入屋の『鳩屋』は、新しい仕事として、年寄りの介護をする「介抱人」を始めた。

年よりの介護は家の家長という決め事があるが、意外と裕福な層からの需要は多い。

普通の奉公よりも給金が良いため、事情のある女たちも控えている。

お咲もその中の一人だが、妾奉公を繰り返し、お金にだらしなく、散財も酷い母親の借金を背負わされながらも、誠心誠意、お年寄りに尽くして人気の介抱人となっていた。

時には人生を投げ出したいと思う日もあるが、懸命に踏みとどまるお咲。

そんな彼女の元に、誰もが楽になれる介抱指南の書を作りたいと、貸本屋の佐分郎太がやってきた。

人生の終盤をどう生き、どのように支えるのか。

長寿となった江戸の町に生きる人々の生活を描く物語。

 

江戸がそれほど長寿だったとは知りませんでした。

今の時代ほどではないにせよ、老いるという問題はどの時代にも付きまとうものですね。

『介護職』のはしりが江戸時代になるのでしょうか。今よりずっと人情的かと思いきや、大して変わらずってところが共感できるところです。

親の面倒は見るけれど、自分は誰にも面倒をかけずに死にたい。ピンピンコロリは今も昔も同じ。

けれど、そこにお咲は疑問を持った。どうしてそう思わなければならないのかを考えた。

老いるということは枯れるということ。

コロリと逝く人ばかりでなく、ゆっくりと静かに体の自由が利かなくなったり、時にはわがままになったり手がかかったりする。

それが老いるということなのだから、介護する方もされる方も、もっと楽になる方法があれば・・・と。

生も死も、自分の思い通りには行かない。

生まれてきたときと死ぬときは、人の手を借りなければならない。

それが当たり前だと思える社会になれば、と、そろそろ人生の折り返しが見えてきた自分は思うのです。

 

あなたが生まれてきたとき、あなたは泣いて、周りの人は笑ってた。

あなたが死ぬときには、周りの人が泣いて、あなたが笑う。

 

誰が言った言葉だったか、とてもすてきだなと思います。

神様たちのいた街で   早見和真

  • 2019.01.11 Friday
  • 08:18

JUGEMテーマ:読書

 

ごく普通に、当たり前に暮らしていた。その生活がずっと続くと信じて疑わなかった。

そんなある日、父が交通事故に巻き込まれた。

職を失い、お金に困るようになり、次第にある宗教へ傾倒していく父。

生活苦から、父とは違う神様を信じはじめた母。

その狭間で僕と妹のミツコは翻弄された。

大人たちはもう信じられない。

ぼくの「正しい」の基準は、親友の龍之介だけ。

この暮らしから逃げ出すためには武器がいる。僕だけの武器が。

 

何だかとても胸が苦しくなる話です。

この世界で、同じような家族はきっといる。大人たちの正義の狭間に立たされて、両側から腕を引っ張られてその痛みに耐えかねている子供たちはきっといる。

そんな風に感じさせる物語です。

でも、どれだけ両親が現実から目を背けてしまっても、彼は強かった。

自分と妹が生き延びるすべを全力で探していた。

出来れば、花火が上がる前に大人たちが気づいて、立ち止まって、考えて、修正して欲しいと思いながら、ページを閉じました。

残り者   朝井まかて

  • 2019.01.09 Wednesday
  • 13:58

JUGEMテーマ:読書

 

 

時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。

官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みる中、大奥に留まった五人の「残り者」がいた。

なにゆえ残らねばならなかったのか。

それぞれ胸の内を明かした彼女らが起こした思いがけない行動とは――(アマゾンより抜粋)

 

大奥の中で長い時を過ごした女性が、奥を出てどうやって生きるのか。その決断はまさに生死をかけたものだといっても過言ではないかもしれません。

今の時代のように自由に職につけるでもなく、女性が技術を身に着けることが容易ではない時代です。実家があればまだしも、親が亡くなり、跡目を兄が継いでいる人にとっては身を寄せる場所の確保も難しかったことでしょう。

江戸城に想いを残し、去りがたい気持ちと、最後までお役目にこだわる気持ち。それがとても感じられて切なくなります。

が、ラストは希望もあり、未来を感じさせてくれるものであったことが救いです。

ヤッさん   原宏一

  • 2018.12.29 Saturday
  • 07:58

JUGEMテーマ:読書

 

 

新米ホームレスのタカオは、ある朝、中年の男にたたき起こされた。

乱暴な口調と強面の顔で付いてこいと言われ、訳も分からず従った先は、築地市場と高級料理店。

そこで男は料理人を叱り飛ばしたり、市場の男たちと親し気に話をしながらタカオを紹介していった。

彼は銀座でヤッさんと呼ばれ、築地市場と高級料理店を行き来しながら情報を提供している食の達人ホームレスだった。

不思議な魅力のあるヤッさんに惹かれたタカオは、彼に弟子入りし、生きていく術とホームレスの誇りを教わることにした。

 

私はわが家が大好きなので、家を失ってもいいと思える心境はよく理解できませんが、家が枷になっている人にとっては、それは解放であり自由なのでしょう。

職がないということは生きていく術、基盤、未来がないことと考えがちですが、ヤッさんのようにホームレスになる前に自分の力でつかんだ何かがあれば、生きていけるのだということは、希望になるのだと感じます。

そういう生き方、感じ方、考え方があるのだなと、別の視点を教わった気がして目からウロコが落ちました。

i アイ   西加奈子

  • 2018.12.19 Wednesday
  • 07:19

JUGEMテーマ:読書

「この世界にアイは存在しません。」

入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。

その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。(アマゾンより抜粋)

 

シリア人でありながら、アメリカ人と日本人の夫婦に育てられ、実親の顔もしらないアイ。

故郷の経済状況や世界情勢と、裕福な自分の暮らしとにギャップと罪悪感を持ちながら、いったい自分は何人なんだろうとアイデンティティを模索している彼女は、葛藤のさなかにいる。

きっと、思春期に誰もが一度は陥る疑問と不満と行き場のない疎外感なのだろうが、少しばかり感受性が強すぎる彼女に感情移入するのは難しい。

周囲にも様々な問題を抱えている友人がいて、それがまた世界を複雑にしている。

この問題に正解はない。

読者が自分の人生の中で答えを出していくしかないのだということが、この物語の圧迫感につながっているような気がする。

女子的生活   坂本司

  • 2018.12.14 Friday
  • 07:52

JUGEMテーマ:読書

 

女子的生活を楽しむため、東京に出てきたみきは、アパレルで働きながら、念願のお洒落生活を満喫中。

おバカさんもたまにはいるけど、いちいち傷ついてなんていられない。そっちがその気なら、いつだって受けて立ってやる!

彼女は、自由。だから、最高の生活を知っている。読めば胸がスッとする、痛快ガールズストーリー!(アマゾンより)

 

前向きで頑張り屋。過去なんて振り返ってられないとばかりに突き進むみき。

確かに読んでいてスッとする気分になります。が。自分が出来るかどうかはまた別の話。

どうしても、他人事みたいな読み方になってしまいました。

みきのような友人がいたら面白いとは思うけど。

広島の探偵   ハマスガシ

  • 2018.11.09 Friday
  • 07:35

JUGEMテーマ:読書

 

 

その探偵事務所は広島鷹野橋にあった。職員は所長の瀧澤勇作とアルバイトの荊木元気の二人きり。

探偵事務所の仕事の定番・浮気調査に余念のない日々をすごす瀧澤だったが、ある日、立て続けに風変わりな依頼が続く。

すでに亡くなった夫の素行調査に、終わってしまったらしいストーカーの犯人捜し。

今ごろ?と首を傾げる事件ばかり。

広島の風景の中、春から夏にかけて捜査は進み、意外な結末を迎える。広島を舞台にしたハートフルミステリー。(アマゾンより)

 

可もなく不可もなくといった物語でした。

キャラ的には好きかな〜。

お仕事ガール   朝戸夜

  • 2018.11.07 Wednesday
  • 07:38

JUGEMテーマ:読書

 

 

社会人3年目で会社が倒産。二十三社目の面接も手応えなし。彼氏からは放置され、寂しさを抱えている時子。

そんなどこかツイてない彼女に、大企業の受付嬢という仕事が舞い込んだ。

ところが。

初日早々、受付リーダーがまさかの遅刻で一人奮闘することに。

さらに顔色の悪い人事課社員、口の悪い鬼上司が絡んで問題が噴出の職場。

果たしてこのお仕事、ちゃんと出来るのだろうか・・・・。

 

人生イロイロあるけれど、頑張ってれば必ず見ていてくれる人がいて、理解してくれる人が出てきてくれる。

そんな、希望と夢がちょっぴっともらえる物語。

目に見えないけれど大切なもの

  • 2018.11.01 Thursday
  • 07:48

JUGEMテーマ:読書

 

 

あいさつをしたのに、会釈すら返してもらえなかった時。

他人から辛辣なことを言われたり、そういうことを人づてに聞かされた時。

「私はもっといい仕事ができたはずなのに」と自信をなくした時>

傷いっぱいの日々を生きるあなたの心を支える言葉が、ここにあります。

 本書は、「信仰があっても、なくても、人間、落ち込むことに変わりはないのです」というシスター渡辺が、「ひとりの人間」としての日常や、心と体の病から立ち直った経験から学んだことを、飾らない筆致で綴ったエッセイ集。あなたの生き方、考え方を励まします。(アマゾンより抜粋)

 

シスターなのにとっても身近な人。

同じところで迷い、悩み、嫌な感情を抱く彼女の言葉はとても素直に耳に、心に、残ります。

世界に一人だけ、という神様論は嫌いですが、(私は八百万の神様が好き♪) この世の中を上手に生き抜くための心構えや、気持ちが暖かく穏やかになる考え方や、人間とはどうあるべきかということを考えさせられる内容は、読んでいて損はないと思いました。

生きるためのヒントがある。そんな風に感じます。

シスターでもないし、キリスト教徒でもないし、聖者でもない自分だけど、ちょっとだけイイことが出来そうな、そんな気分になりました。

たなかとも さんの著書

  • 2018.09.21 Friday
  • 07:47

JUGEMテーマ:読書

 

 

小山薫堂が90歳のおばあちゃんに学んだ大切なこと

99歳ちりつもばあちゃんの幸せになるふりかけ

 

90年という年月は、知恵袋をいっぱいにするのでしょう。

最近、年配者のことを敬わない人が増えています。

確かに。

世の中は目まぐるしく変わっていて、昨日正解だったことが今日には間違いだったと分かり、ロボットが人の代わりに考えたり喋ったりするのですから、ひと昔前の情報が通用しないことはよくあります。

けれど、生きるための知恵、考え方の知恵、人間関係の知恵はそうそう変わらないと思うのです。

却って、今、ネットや地域社会の中で孤立しがちな現代だからこそ、おばあちゃんたちのような知恵袋が必要なんじゃないかな。

道に迷ったとき、人に迷ったとき、読むとほっとする本です。

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劇団『黒・猫屋敷』

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気位の高いツンデレ姫。


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